【目次】
●青梅と熟した梅の違い
●青梅の甘露煮と熟した梅の甘露煮、作ってみた!
・青梅で作る甘露煮のレシピ
・作り方
●熟した梅の場合
・熟した梅(南高梅使用)のレシピ
・作り方
今回のこだわりポイント
熟した梅の問題点
梅の甘露煮
梅の甘露煮が大好きです。
スーパーの店頭に梅が並び始めると、いてもたってもいられません。すぐにネットで梅の甘露煮を検索して、ポチっと・・・。
というのが毎年の行事だったわけですが、今年は野菜コーナーの梅を見たとたん、なぜか「うちで作ろう!」という気持ちになったのでした。
梅が店頭から姿を消すまでその意欲は燃え尽きず、現在に至るまでに合計3.5キロの梅の甘露煮を作りました。
なぜそんなにも甘露煮を作ったのか・・・。
皮が破れて美しく仕上がらなかったからです。
失敗しては「泣きの一回!」の積み重ねで、冷蔵庫は梅の甘露煮だらけになりました。
一番の敗因は、青梅が出回る時期が過ぎかけ、少し熟し始めた頃から参戦した〝出遅れ〟です。
やはりネットなどでレシピをアップされている先輩諸氏のご意見の通り、梅の甘露煮は青梅で作った方が「皮が破れず、でも皮まで柔らか」な絶品を作るのに向いているというのが結論です。
ですが熟した南高梅の、あのプラムのようなビジュアルと香りで作る甘露煮もまた、目にも美味しいスイーツが出来上がりました。
未だ梅仕事初心者ですのでレシピと言えるほどのものでもありませんが、来年の為に覚書として記しておこうと思います。
いつかやってみようという方、ご参考になれば幸いです。
写真で梅を入れているガラスの瓶はこちらで紹介していますので是非ご覧ください。
青梅と熟した梅の違い
写真の右が青梅で作った甘露煮で、左が熟した梅で作った甘露煮です。どちらも南高梅です。手に入ったサイズが全然違いますが、それもさておき色が全く違います。
見た目は熟した梅が綺麗に見えます。味も、プラムのような酸味があり、これはこれで美味しいと思います。ですが、食感のふっくら柔らかなのは、断然青梅で作った甘露煮です。
それはなぜでしょうか?
固い青梅と熟した柔らかい梅では、工程を同じにできません。熟した梅を青梅と同じ作り方をすると、ほとんどの梅の皮が破れてしまいます。
見栄えよく仕上げるには工程を省略して作るので、皮に若干の食感が残ります。
青梅の甘露煮と熟した梅の甘露煮、作ってみた!
青梅は2時間水にさらした後、50℃まで温める灰汁抜きを3回し、その後砂糖で煮含めました。
熟した梅は、一晩水にさらした後、2回温める灰汁抜きをするパターンと、20分水にさらした後温める灰汁抜きせずに砂糖で煮るパターン、そして全く水にさらさず温める灰汁抜きもせず、いきなり砂糖で煮るパターンの3パターン試してみました。
梅の灰汁を抜く際、水と梅を入れた鍋を50度まで加熱するのですが、その作業を2~3回行うことで、皮までふっくらしてきます。(私個人の感想です)
青梅で作る甘露煮のレシピ
裁縫針や容器、菜箸など、使用する器材は全て消毒しておきます。
砂糖は白砂糖を使いますと、シロップの色が透明で綺麗です。味はさっぱりとした仕上がりになるので、こっくりとした甘さをお求めの場合はキビ砂糖や黒糖が良いようです。シロップは茶色になります。
【材料】 | 【分量】 |
青梅 | 500g |
砂糖 | 400g(梅の重量の80%) |
水 | 800cc |
作り方
①洗った梅のヘタをつまようじで取り、裁縫針などで10~20ヶ所くらい(梅のサイズによります)、1センチ程度の間隔を開けて穴をあけ、水に2時間以上さらします。水にさらしただけでも灰汁は少しずつ抜けます。時間を置いて水を少し味見すると、エグミ(出て来た灰汁)が感じられます。
②鍋のサビや梅の変色を避けるため銅以外の鍋(土鍋やホーロー鍋など)を使用し、梅と新しい水を梅がしっかり浸るまで入れ、湯煎か弱火でゆっくりと50℃まで加熱します。50℃になったら水を変えてまた50℃まで温める、を2~3回行います(この作業で更に灰汁が抜けていきます)。最初の一回は特にゆっくりと温めた方が皮が破れにくいので、湯煎がお勧めです。
始めはまず50~60℃くらいのお湯で湯煎します。30℃台まで鍋の水を温めたら、一旦湯煎から外します。次に60~70度台のお湯で湯煎して40℃台まで鍋の水を温めます。湯煎している間、何度か優しく手かお玉やゴムベラなどで鍋の中をかき混ぜます(鍋の中のお湯の温度を、なるべく均一にするためです)。
最後に80~90℃のお湯で湯煎します。鍋の中の温度が50℃に達したら湯煎から外して水を足し、鍋の中に手が入れられるくらいの温度に落としてから梅をそっと取り出し、鍋の水を新しくします。
③②の灰汁抜きを2~3回行ったら、新しい水800㏄と砂糖で梅を煮ます。砂糖は3回位に分けて入れます。
まずは梅と水800ccと砂糖200gを鍋に入れ、砂糖が溶けるまで弱火で加熱していきます(5分くらい)。
白いふつふつとした灰汁が出てきたら丁寧に取り除きます。(灰汁が出ないからと火を強めないでください。弱火でゆっくりと温めた方が皮が破れにくく仕上がります)
鍋底に砂糖が固まってしまったら、ゴムベラでそ〜っと剥がして溶かして下さい。その際、ゴムベラがあまり梅に当たりすぎないようにして下さい。
最初に入れた砂糖が溶けたら更に残りの砂糖半量100gを加え、キッチンペーパーで落とし蓋をし砂糖を溶かします。5分程度弱火で温め砂糖が溶けたら、残りの砂糖100gをキッチンペーパーの上から加えてさらに煮ます。何分煮る、というよりは梅の様子を時々見て、皮が破れた梅が一つ現れたところで火を止めるのが良いと思います。
ちなみに以上のレシピで硬い青梅を煮た場合、35分くらい煮ましたが皮は破れずに出来ました。
皮が破れやすいかどうかは梅の成熟度にもよると思いますので、時間縛りで煮ていると、気が付かない間に沢山の梅の皮が破れていた、という状況になりやすいです。砂糖を入れる回数も、様子を見て2回に抑えてもいいと思います。
【2021年6月7日追記】砂糖で煮る際の温度管理ですが、鍋の中の温度は硬い青梅でしたら100℃を超えないように気をつければ破れませんでした。温度があがりすぎたと感じたら、暫く火を止め温度を下げてください。
④キッチンペーパーを外して鍋蓋をし、荒熱を取ります。荒熱が取れたら消毒した容器に梅をそっと移し、残りのシロップも濾しながら容器に流し入れ、梅が外気に触れないようにします。容器に蓋をし、常温まで冷ましたら冷蔵します。
その際、菜箸の持ち手側で梅を扱うと、皮が破れにくいです。
作った初日はまだ酸っぱく、味も甘露煮らしくはないのですが、2日目以降から徐々に梅はシロップの甘さを吸収し、シロップには梅の香りがついてきます。
2〜3日寝かしておくと、美味しい甘露煮になります。
【2021年6月7日追記】皮が破れる心配を減らすために、先日、3回目に入れる砂糖をお湯で溶かして鍋にそっと流し入れるという手法を行なってみました。皮が破れるのでは?というストレスから解放されましたが、4日目現在、少し種の周りに酸っぱさが残っています。
やはり、砂糖は3回ともそのまま鍋に入れ、ゆっくり砂糖の濃度を上げていくやり方の方が梅は甘さを吸収し易いのではないかと思いました。
ただ、その作り方ですと砂糖が鍋底に溜まり易いので、ゴムベラでそっと剥がす作業をしていますが、なるべく梅に干渉しないようにするのが結構大変です…。
熟した梅の場合
甘露煮の一般的なレシピは上記の通りですが、まだ固い青梅で作っても③の作業で皮が破れてしまう事もあります。
それを、青梅より柔らかい熟した梅で作ったらまず100%破れます。
へこむほど失敗を重ねたのち、他の方のブログで目から鱗の情報を得ました。
それは「熟した梅は灰汁抜き不要。むしろトラブルの元になるので灰汁抜きしない」!!・・・というご意見でした。
黄色がかった梅は熟しているということなので、灰汁抜き不要のようです。
それを知らずに黄色い梅で最初に作った甘露煮は、一晩水にさらした後、温める灰汁抜きを2回行ってから砂糖を煮含めたのですが、結構な数の梅の皮が破けてしまいました。
そこで、一切灰汁抜きをしないパターンと、梅を20分水にさらすパターンを試してみました。どちらも皮の被害は最小に抑えることができたので、短かい間だけ水にさらすのならトラブルは無さそうです。さらした水を味見したところ、20分だけだったのにエグミが出ていたので、私個人の意見としては、黄色い梅でも少しは水にさらした方がいいのかなと思っています。
熟した梅(南高梅使用)のレシピ
【材料】 | 【分量】 |
熟した梅 | 500g |
砂糖 | 400g |
水 | 800cc |
作り方
①梅は洗ってヘタを取り、裁縫針で1センチ間隔に穴を開けます。種に針が達しない程度の深さにさしてください。(針で穴を開けるのは皮が破れにくくする為です)
②少し水にさらしたら、水を変えます。梅が重ならないように鍋に並べ、800㏄の水と200gの砂糖を入れ弱火で加熱します。砂糖が溶けたら一旦火を止め、5〜10分位休ませます。(皮が柔らかくなりすぎたと感じたら、休ませる時間を少なくして下さい)
残りの砂糖を入れ、キッチンペーパーで落とし蓋をして弱火で加熱します。(鍋の中の温度は高くなっても60℃後半までに抑えて下さい)
砂糖を溶かすトータルの所要時間(休ませる時間は除く)は、20分から40分位に収めるのが良いと思います。梅の様子を見て、一つ皮が破れた梅を発見した所で火を止めます。
③キッチンペーパーを外して鍋蓋をし、荒熱を取ります。荒熱が取れたら消毒した容器に梅を移し、シロップを濾しながら流し入れます。容器に蓋をして常温まで冷ましたら冷蔵します。
今回のこだわりポイント
青梅も熟した梅も、味が落ち着くまでに2~3日かかります。4日目以降から飛躍的に美味しくなるように思います。
使用した水ですが、最初の「梅を水にさらす」工程と、「砂糖と水で梅を煮る」工程でミネラルウォーターを使いました。
これは根拠はないですが、お米を研ぐときと同じ理由から水道水は避けました。
お米は、最初に浸水した水を一番多く吸収してしまい、その水の味によって味が左右されます。
ですので、最初に浸す水は日本のミネラルウォーター(軟水)を使い、焚くときのお水もミネラルウォーターにすることで、お米の美味しさを最大限に引き出すことが出来ると教わった事があります。
梅も同じ理論が当てはまるかどうかは分かりませんが、針で穴を開けるのでお水を吸収しやすくなっているのではと考え、お米と同じように最初と最後だけミネラルウォーターにしてみました。
最初から最後まで水道水、という作り方にまだチャレンジしていないので、この方法がいいのかどうかは定かではありません。
来年の試作に持ち越し案件です。
熟した梅の問題点
青梅を煮たら、皮まで柔らかい甘露煮が作れました。皮も若いので、ふっくらと炊き上がるのかもしれません。
ですが、熟した梅の場合はなぜか皮に独特の食感が残ります。実は、一晩水にさらし、更に温める灰汁抜きを2回した時も、皮が破れてまで煮たにも関わらず独特の食感が残ったのです。これが、「私の知っている美味しい」甘露煮の理想像から外れてしまうのです。
なぜ熟した梅では皮に食感が残ってしまうのか・・・。解明できませんでした。
これだけ試作を重ねて、今年は決着がつかないまま梅のシーズンが終了となりました。
なので、今回のレシピはまだまだ未完です。
次回作は来年・・・。
その時またご一読いただけたら幸いです。
今年も梅ゼリー、ようやく作れました( ^ω^)・・・
シロップは炭酸で割って、梅サイダー♪
熟した南高梅の甘露煮はとにかく映えます!