ジョギング🏃に全く造詣のなかった私がある日突然マラソン入門の扉を叩き、アシックスGEL-KAYANOに辿りついたのは我ながら奇跡としかいいようがありません。
最近越してきた地域のジョギング人口がとても多いため、彼らの姿を日常で見かける頻度が以前より増したことが一因だと思います。歩くという行為のごく近い延長線上に走るという行為を認識せざるをえない環境が、私の背を押したのでしょう。
【目次】
いよいよランニングデビュー
GEL(ゲル)=クッション材
心構え
海沿いに越してきて2年目の夏。
いつものようにビーチサンダル🏖に麦わら帽子で海辺を散策した帰り道。傍らを走り抜けるランナーを見送ること何人目か、というある時、ほぼ無意識に私もゆっくりと走り始めていました。
見よう見まねとはこのことでしょう。
その日からほぼ毎日、海沿いの遊歩道をランニングするようになりました。
ジョギング🏃をする方もウォーキングをする方も、それなりのシューズを履き、ウエアも一見してそれとわかる格好をして臨んでいらっしゃる中、ビーチサンダルと麦わら帽子のランナー登場です。しかも『歩くより遅い速度でマラソンのフォームを遵守し移動している』、といった方が正確な表記のランニング姿です。にこやかな視線を送ってくださる方も多い中、走り続けるのはもはや自分との闘いでした。
視線を感じながらもあえてビーチサンダルで走り続けたのには、ワケがあります。
使用しているビーチサンダルはつま先部分の底の厚みが2センチ以上、かかと部分は3センチ以上ある、高反発素材の厚底サンダルです。薄くてコンクリートの硬さを直に感じやすいタイプのサンダルと違い、長時間使用しても痛みや疲れが発生しません。
仕事上、週に何度か一日中ウォーキングシューズで過ごし、座っている時間は30分程度、という状況になりますが、この経験から選ぶシューズに必要な要素は常に2点です。
①クッション性
②通気性
これを外して選んでしまうと、業務時間の後半は苦痛との闘いになってきます。
靴によるストレスを最大限減らし、業務上のパフォーマンスを最大限引き出すツールとして、まず重要視するのがクッション性でした。
これだけ厳選して購入する仕事上のシューズよりもさらにクッション性で上回るのが厚底ビーチサンダルです。最近、ビーチサンダルに浴衣という恰好で同じ時間、同じ環境で業務をしたのですが、ウォーキングシューズを上回る快適性に驚きました。
さて、この持論がランニングにそのまま当てはまるのかは、素人の初心者ですので断定できません。ランニングシューズは様々な機能と特性を持ったものが多数存在し、上級者には上級者に向くシューズがあって、下手に初心者が使用するとトラブルが起こりかねないというご意見も聞かれます。
初心者が履く場合、店頭に並んでいる靴ならどれでもいいというわけではないようです。
ランニング中、着地する際に片足にかかる負担は体重の3~4倍だそうです。
自分の体重を単純に3~4倍して考えると、『足腰の負担を軽減するランニングフォームや筋力が備わっていない』初心者が、それらを持っている上級者と同じ性能の靴を履いたところでミスマッチなのでしょう。そういえば、かかりつけの病院の先生にランニングを始めたと言ったら、筋力トレーニングもして下さいと仰っていました。
👟そしていよいよランニングシューズデビュー👟
ランニング🏃を初めて3週間経った頃。ビーチサンダルの底も減り、走りずらくなってきたためいよいよランニングシューズを検討することに。
まずはランニングシューズを多数取り扱っているお店に出向き、実際に履いてみることにしました。クッション性重視という要望をお店の方にお伝えしたところ、おすすめされたのがアシックスGEL-KAYANO25です。
アシックスのランニングシューズの定番となっているゲルカヤノが25周年のアニバーサリーを迎え、最新技術を搭載し更にアップデートした一足です。初心者からフルマラソンに出るレベルのランナーまで、幅広い層におすすめ出来るシューズとのことです。
その最新技術、FlyteFoam PROPELの特徴は、一言でまとめると「跳ねるようなライド感」です。
前身のFlyteFoamは、もちろん優れたクッション性と耐久性を持っていますが、そこからさらに反発性を高めたのがPLOPELです。
その特質は、特につま先が地面を離れる際に効果を発揮し、優れた反発性による力強い蹴りだしで跳ねるようなライド感が得られるようになっています。
かかとの部分ももちろん改良が加えられています。従来のミッドソール材「FlyteFoam」に比べ、軽量性を維持したまま、強度を20%、耐久性を約7%高めており、初心者が陥りがちなかかと重心の着地をしっかりと支えてくれます。
GEL(ゲル)=クッション材
衝撃緩衝材として内蔵されたGELが着地の衝撃を軽減し、蹴りだし時のクッション性を高めます。
アシックスは日本人に多く見られる甲高幅広の足に沿った作りをしていると様々な記事でみかけますが、確かに親指部分の幅と高さにゆとりがありました。このゆとりが柔軟性の高く通気性に富んだアッパー(甲皮)と相乗効果で足に優しくフットし、履き心地の良さに繋がっているのだろうと思います。
走るという行為は、立ったままの状態やゆっくり歩く時とは違うストレスを靴に感じます。お店の方も、普段履いている靴のサイズより5~7ミリ程度はサイズアップして購入した方が安心ですと仰っていましたが、やはりピッタリの靴よりは少しゆとりがあった方が快適な気がします。微調整をしたいのであれば靴紐でするのがよいでしょう。
ちなみに私は通常23センチの靴を履いていますが、購入したサイズは23.5cmです。
そして、クッション性と同時に気になる安定性ですが、ここもやはり進化しているようです。ミッドソールの一部の硬度を高め、着地時にかかる力を分散させて足裏への負担を軽減しているとのこと、これがランニング後の疲労も軽減させてくれているのではと思います。ランニングをすると足に痛みや疲労が残って苦痛という意識がないので、翌日もまた「走ろう」という気持ちになれます。
さらに運動時のねじれが生じやすい部分の剛性をアップし、フットワークの安定性も高めています。初めてゲルカヤノ25を履いてランニングした時、同じ距離を今までかかっていた時間の半分位で帰宅したことに驚きました。全く意識していなかったのですが、驚くほどのライド感に感動し、いつもより早く走っていたようです。蹴りだしの重要性がここで分かりました。
勿論早く走れば息も上がるので、途中で歩いてしまったりします。ダイエット目的の私としては短時間での走り込みより長時間の運動をしたいので、翌日からは元のスピードに戻しました。
1週間以上履いて走っていますが、ジョギングが楽しいと思える位、ノンストレスです。ゲルカヤノ25は、初心者でもライド感を味わえる点でおすすめしたい一足です。
勿論人によって足の形や筋肉の付き方が違うように、合う靴も違ってくると思います。私はGEL-KAYANO25を購入してよかったと思いますが、これからお探しのかたは、実際に店頭で何種類も履き比べてから購入してほしいと思います。
今回、記事を書く前にタイトルを決めたのですが、タイトルでメインに押し出した「ライド感」という言葉は、靴を履いて走ってみて真っ先に浮かんだ言葉です。
記事を書き始めてさすがに専門の知識も必要だろうとゲルカヤノを調べたら、商品説明に出てくる出てくる、「ライド感」という文字。これでは商品説明を見てタイトルを決めたと思われても仕方ないのですが、けして商品説明の受け売りで決めたのではありません。本当に感じたからタイトルにつけたのであり、その点で看板に偽りはなかったというのが私個人の見解です。
今までランニングとは無縁に生活してきたのですが、環境は重要です。走ることが普通になっている自分に本当に驚きます。
片側で往来する車通りがふと途絶え、波の音だけが伴奏となって走っていることに気づいたある時、突然懐かしい言葉が蘇りました。
「前へ」。
心構え!
母校明治大学に在籍していた頃、当時学生に熱狂とともに見守られていたラグビー部の北島忠治監督の名言です。多くの言葉を並べるのではなく、ただ「前へ」と言い続けた監督の言葉は、選手のみならず学生から広く支持され様々な解釈とともに学生達の胸に刻まれました。
経済学を専攻している学生からは、「停滞は緩やかな下降に続く」という経済学に沿った解釈がなされ、文学部の学生からは「どんな時も前進することが美しい」という美学として語られました。解釈は異なれど、「前へ」という言葉は、誰が強要するでもなくそのままごく自然に校風となって学生の中に受け継がれていったと思います。
監督が多くの学生から信頼を得、慕われた要因となったのは、感性を揺さぶられる一言「前へ」という言葉だけではありません。生涯に渡ってぶれることのなかった「師の一貫性」も周囲の信頼を勝ち取った一因であると思います。一貫して変わらなかったその発言に、学生達が師を信頼する根本があったと私は思います。
どんな局面にも「前へ」と伝えることは、時に困難を伴うことだったかもしれません。ですが、もしそこに迷いがあったら、これほどまでの学生との信頼関係は生まれなかったのではないのでしょうか。言葉に揺るぎのない「何か」を感じるからこそ、人は信頼し集まるのです。
師は監督時代のある時から、選手たちの坊主頭をやめさせ、好きな髪形にさせたそうです。
ある試合中、師の声が群衆の歓声にかき消されたのか、選手達が師の指示通りに動かなくなってしまったという状況に陥りました。そんな中、一人の選手が指示と違う動きでゴールを決めたことがきっかけとなり、そこから師の指導方法が変わりました。必要な指示はキャプテンにだけ伝え、後は選手達の自主性に任せるというスタイルになったのです。
「教わるのではなく、自分で自分のラグビーを作っていくんです。
どんどん失敗して、その間違いを頭の中に焼き付けていけばいいんです。」
結論とか命令というのはほとんどなかった。どこかで忘れていることがあれば、自分で気づき、そして自分で修正する、という教えであったとのちにOBの方が語っていらっしゃる番組を拝見しました。
自主性を重んじ、自由を旨とする校風の礎を築かれたのは紛れもない北島監督であり、学生達の記憶に残る名監督でした。
あれから時が過ぎ、「前へ」という言葉は当時の熱狂的な感情を伴って思い起こす言葉ではなくなりましたが、やはり思うところある言葉です。本当に素晴らしい監督でした。翻って今の私は、後世の若者に何か伝えられることはあるのでしょうか。
もしあるとするならば、やはり自分で考え自分で動く、ということであると思うのです。だからといって周囲を見ず、何も参考にしないということではありません。かたくなになるのではなく、柔軟性を失わず、心ある人からの助言に耳を傾け、俯瞰の視線で物事を見、そしてやはり最後には自分で決定していくのです。それが「生きる力」であり、激動の時代を生きられた北島監督の「学生に伝えたかったこと」なのではないでしょうか。
後世の若者達に、その人生の全てにおいて転ばぬ先の杖を差し出すことは不可能です。であれば、早い時期から自分の人生を切り開く力を付けてほしいと願ってしまうのです。10年後の私を作り、そして支えるのは、他の誰でもない今の私なのです。
無心に走りながら北島監督の名言を思い出し、改めて思いました。若い頃のようにその言葉を原動力にするということではなく、これからはニュートラルな気持ちにリセットするためのスイッチにするのです。
紆余曲折はあるけれど、それでもゴールは前にある。
晩年の師もそのような境地にいらっしゃったのではないかと想像します。
ところでアシックスのゲルカヤノ25を履いた私は、自慢げに意気揚々と海沿いを走ったのですが...。以前のように注目されることはありませんでした。ビーチサンダルから最新のランニングシューズに履き替えた私は、ランナーとしては没個性になったようです。
周囲に馴染んだのは、それはそれでよいことです。