マンションと戸建のメリット、デメリット~マイホーム購入で押さえておきたい最低限の条件~

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私たち夫婦は、この4年間で2度の不動産購入を経験しました。1度目は、複数の沿線が乗り入れるターミナル駅から徒歩13分のファミリーマンション。都心へのアクセスも良く、通勤は断然楽でした。

そして現在。2階の窓からキレイに見える山なみ。徒歩5分以内で海岸へ。平たく言えば、結構な田舎の戸建てに引っ越してまいりました。もちろん主人は都心にある職場に1時間半以上もかけて通勤しています。エライ。

1度目の購入が失敗だったと思っているわけではありません。ただ引っ越してきてみて思うのは、私たち夫婦には今の暮らしの方が自然体でいられ、性に合っている、と感じるという点で、2度目の購入は大成功だったと思います。

マイホームの購入。人生でそう何度も経験するものではありません。購入前から合わせると、5年以上も不動産に関する知識をかき集めました。片手間にできることではありません。5年もマイホームについてアンテナを張り巡らせていますと、押さえておいた方がいい知識というものがあることに気づきました。

今回は、ご多忙な方に少しでも効率よく情報を集める一助になればと思い、体験談を含め、まとめてみました。

●マイホーム購入には、なぜリスクが発生するのか?を考える

・マンションを検討するにあたって

・マンションのメリット

・マンションのデメリット

・戸建てを検討するにあたって

・戸建てのメリット

・戸建てのデメリット

・戸建てを検討する場合の注意点

マイホーム購入には、なぜリスクが発生するのか?を考える

大概の場合、不動産購入には不安がつきものです。

では不動産購入に対する漠然とした不安とは、いったい何なのか?

それを明確にしていく事が、購入の第一歩だと思います。

【購入前に整理しておきたいこと】

①人生全体の資金計画を立てる(家族全員のライフプランを考える)

不動産の購入者だけではなく、その方に直接かかわる家族全員の将来設計を考えます。

結婚⇒子育て⇒老後

家族構成が変わりうる大まかな流れです。そして、それに伴う資金がどれくらい必要になるのか?を考えます。

お子さん一人につき、養育費・教育費はどれくらいかかるのか?もし大学まで進学を考えているのであれば、学資保険などの積立を毎月どれくらいした方が安心なのか?

お子さんが成人した後夫婦2人が老後を過ごしていくためには、どれくらいの貯蓄が必要なのか?その為に今から検討しておきたい貯蓄方法は?

以上の2点についての整理は、不動産購入の前に最低限しておきたいことです。

人生を通しての資金計画を立てて、収入からそれらに対する積立額と生活費等の支出を差し引いていきます。残った金額から、不動産に充ててもいいだろうという金額を決めていきます。

なぜ初めに以上の事をしておいた方がいいかというと、一旦不動産を見て回りはじめたらあれもいい、これも素敵、と目が眩み始めるからです。そういう精神状態で冷静な判断が出来なくなってしまいますと、無理な金額に手を出しかねません。

最初から上限を決めておき、その中で一番いい物件を探していく必要があります。

②自分たちに合ったライフスタイルを見極める(どういう生活をおくりたいのか)

利便性のある都会のマンションがいい。

住居としては広さも確保しやすい戸建てがいい。

子育てするのに便利な制度が充実した地域がいい。

定年までは都会で便利に暮らし、定年後は郊外でのんびり過ごしたい。

などなど。

ライフスタイルにまつわる希望というのは人それぞれで、夫婦といえども一致させるのは難しい条件です。ですが、こうした希望は今現在の望みであって、将来に渡って全く変化しないというものではありません。2~3年後には全く違う生活スタイルをしたいと思っているかもしれない、流動的な計画です。

まさに我が家がそうでした。マンション購入当初はマンションのメリットに大満足でしたが、その3年後の現在、田舎の一軒家に大満足しています。
では、私たちが感じたマンションのメリット・デメリット、戸建てのメリット・デメリットを1つの体験談としてまとめましたのでご参考にしていただければと思います。

≪マンションを検討するにあたって≫

マンションを検討される方の多くは、駅近、近くに商業施設あり等、利便性を考えると思います。あるいは駅から徒歩圏内であれば、商業地より静かな住宅街がいい、と考える方もいるでしょう。万が一生活環境の変化で手放す時が来ても、利便性のある駅から徒歩圏内のマンションであれば比較的売りやすいようです。

私たちも、利便性が良く、あまり大幅な値崩れはしないだろうと思われる地域のマンションを購入しました。新築でしたが建ち上がった後の購入でしたので、建ち上がる前の価格より値下がりしていました。

そのマンションは5階建ての4階南向きという条件でしたが、築後4ヶ月間売れ残っていました。下の階はご入居されていたので、最上階でない割りに価格が高かった、等のハンデがあったのかもしれません。理由はわかりませんが、一目で『ここがいい』と思えた部屋を値下がりした金額で購入しました。

建ち上がる前に購入すると、オプションを付けることが出来たり、希望する位置の部屋が購入しやすかったりとメリットはあると思います。うちの場合はそのメリットはありませんでしたが、購入金額を抑えることが出来、売る時も築浅だったこともあり、さほど値を下げずに買い手がついてくれ、残債を残さずに次の家に移ることができました。

こういったケースもあるので、やはり売る時はいくら位になりそうなのか?という資産性も考えながら購入した方がよさそうです。

【マンションのメリット】

何よりフラットであるという点です。階段がないので移動もスムーズで、間取りによってはエアコン1つで1年過ごせます。ドアは開けっ放しなので、プライベート度外視ですが。

お子さんが小さいうちや、ご夫婦だけの場合、光熱費は抑えられると思います。

脱衣所やトイレも、専用の暖房を用意しなくても暖かいので、ヒートショックが心配な年代の方はマンションの方が断然暮らしやすいと思います。

ゴミ出しは24時間出来、管理人さんがいつも清潔にしてくれています。ゴミの収集場所ですが、もし建ち上がったマンションをご検討される場合は、しっかりと見せてもらった方がいい場所の1つです。ゴミのスペースに秩序があるかどうかにも、マンションに対する管理意識が現れると思います。建物の景観や保存状態が長期的に良好に保たれれば、資産価値としては高く評価されやすいと思います。

【マンションのデメリット】

マンションの管理運営は住人が多数決などでその方向性を決めます。

例えばロビーに自動販売機をつけるのか?等、1つ1つの案件に回覧板が回ってきて、賛成か反対か多数決を取ります。ですので、自分の意見が必ずしも採用されるとは限りません。

これが立体駐車場の補修・再設置となってくると、2000万円くらいの捻出となるとのことで、それを管理費からだすのか、使用者のみから1時金を集めるのか、などで意見が分かれそうです。

マンションには管理費・修繕積立費が毎月かかりますが、最初は低く設定しているマンションが多いです。一見買い易いからメリットのようですが、長い目で見るとデメリットになるケースもあります。

子供が大きくなって進学費用も膨らんでくる時期に費用が上がったり、1時金が必要になったりすることもあります。特にマンションの規模が大きければ修繕費用も高くなるので、管理費・積立金の運営計画については購入前に念入りにチェックした方が安心です。

ですが、戸建ての場合メンテナンスを自分で管理しなければならないのに対し、マンションの場合はほどんど管理会社に任せておけるので、その雑務を省くことが出来ます。

≪戸建てを検討するにあたって≫

戸建てに関しては、突き詰めると資産性があるのは土地です。日本では現状、建物に資産性という発想はありません。あくまでも売買する時の話ですが、アメリカでは日本より建物に対する資産としての意識が高く、持ち家をなるべく高く売るために、要するに資産としての価値を上げるために、それこそ町ぐるみで美的景観を整えようとします。庭に芝生を植え、外観を立派にし、隣近所と景観の足並みをそろえてきれいな住宅街であることを強調します。

一方、日本ではあまりそういった観点で家を建てる方は少なく、どちらかというと個人の予算や趣味で自由に設計するので、街並みに統一感が出ているなあ、という地域は少ないです。

もし戸建てに資産性を当てはめて考えるのであれば、見当を付けた地域の過去10年くらいの坪単価の推移は把握しておきましょう。災害等の突発的な地価の変動のリスクまで予測するのは難しいですが、それでだいたいの資産性をおさえておくことは出来ます。

つまり、例えば4000万円の建売住宅を購入したとして、地域の相場から算出した土地代が1600万円であれば、資産価値は1600万円だと考えておいた方が無難です。あくまでマイホームを資産価値のみで考えるとすれば、限られた予算で少しでも資産性を高めるには、坪単価の高い土地に極力予算を抑えた家、という組み合わせになります。

ですので、デザイナーズの建売住宅をご検討の場合は、家の美しさばかりに目を奪われずに、立地条件をよく見ましょう。土地の難点を建物でカバーしているケースがあるからです。

坪単価の高い地域であっても、土地の形、向きなどで価値が変わってきます。今目の前に立っている美しい建物も、10年、20年経てば新たな買い手からすればおまけかそれ以下の価値です。建物がない状態で考えたら、この土地を買いたいと思うか?10年後に中古として売りに出されたその家を見て、自分ならどう価値を見出すかを想像してみましょう。

因みに私たち夫婦が今回戸建てを購入した決め手は、海まで5分圏内という点でした。海辺を散歩出来るライフスタイルへの魅力が、都会の利便性・資産性を上回ったと言えます。

1つ方向性を決めておくと、あまり迷わずに物件選びが出来るかもしれません。

【戸建てのメリット】

マンションより維持費は抑えられます。そうは言っても修繕費用はマンションと同じように貯めていく必要がありますが、自分たちのタイミングと予算で修繕することが出来ます。

マンションの場合、駐車場代がかかりますが、建売でしたら駐車場も付いているし、注文住宅で建てるにしても自分の土地に車を停めておけば、新たに駐車場代が発生することもありません。

より広い居住空間を、という希望がある場合では戸建ての方が実現し易いです。その場合は駅から5分という立地条件は難しくなりますが。

メンテナンスは自己責任での管理なので、気が楽になります。まあ、住めればいいやとおおらかになれば、いつまでにどの位の費用を用意しておかなくちゃ、という焦りもなくなります。そういう意味では、古い中古住宅よりは築浅の方がさらに気長に考えられると思います。コスパを考えるのであれば勿論、保存状態の良い中古物件も検討の範囲内だと思います。

建物に関する注意点としては、長期優良住宅か?耐震等級はいくつなのか?を最低限把握しておきましょう。それによってかかる税金や保険の額も変わりますし、もちろん住んでいて安心感が変わってくると思います。

【戸建てのデメリット】

2階建て以上の戸建てであれば、『階段』と『居住空間の温度差』が一番のネックになってきます。歳をとった時にこの2点だけとってもマンションに引っ越しを検討したくなるデメリットとなるかもしれません。

その時に備えて土地はある程度資産性も考えて購入を検討した方が安心です。

マンションに比べると防音対策は手薄になる場合があります。マンションに住んでいた時は、上下左右の生活音など全く聞こえませんでしたが(マンションにもよるので、すべてのマンションがそうとは限りません)、一軒家ですと意外と聞こえてくる場合もあります。ですが、窓の向きなどもあるので戸建て全てに当てはまるわけではないかもしれません。

戸建ての場合、駅からバス利用という立地も多いので、職場や学校への交通費も計算しておきましょう。ぎりぎり徒歩圏内の立地の方が月々のローンの支払い等がUPしたとしてもコストを抑えることが出来るかもしれません。

“戸建てを検討する場合の注意点“

①隣家との距離

特に建売をご検討される場合は、買う側では回避できないリスクとなるので気をつけておきたい点です。あまりに近いと、隣家からの要望で窓に目隠しをつけることになったり、予想外のデメリットが発生するケースもあります。目隠しする以上、日の当たらない部屋になります。日が当たらないということは、『湿気やカビが発生しやすい』デメリットが生じます。健康面にも影響が出ますが、建物の保存状態にも影響が出てきます。あまり簡単に捉えない方がいいと思います。

②土地の形や接道部分について正確に把握する。

[旗竿タイプの土地]

売る時に正方形あるいは長方形の土地より不利になるケースがあります。

竿の部分の横幅が2m切るところはないか?

四方を隣家で囲まれている場合、隣家が土地の境界線ぎりぎりまで建物を建てていないか?

等、しっかり見てから検討しましょう。土地に関しては、

相場より安い=何かしらの問題を抱えており、売る時も相場より低いとなるケースが多いです。

[再建築不可の土地]

中古物件であまりに安かったので購入したものの、再建築不可の土地なので資産性はほとんどなかった、という事にならないよう、接道義務を満たしている物件であることは確認しておきましょう。

さて、今回は最低限、マイホーム購入にあたって最初に確認した方がよい重要なポイントをいくつかまとめてみました。

実際に購入の段階になると、ローンの金利についての知識や保険会社の選定など、知っておかないと支払い金額に差が出てしまう重要なポイントが出てきます。

都市銀行、地方銀行、ネット銀行、農協の金利の違いは必ず押さえておきましょう。

変動、固定、超長期固定についてもよく考えてから決めましょう。

保険会社はどの会社もみな同じとは思わず、しっかり保険料とその保障内容を比較してから選びましょう。

以上の3点は必ず押さえて下さい。

マイホームは夢でもありますが、人生を豊かに過ごすツールの中の一つに過ぎないという事も考えましょう。自分たちの暮らしに必要なものは何なのか、取捨選択していくミニマリズムも、マイホーム購入には必要な発想だと思います。

素敵なお家が見つかるといいですね。

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